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2023

#154 蹴球部的エネルギー論(野澤光希/4年)

こんにちは.初めまして.
筑波大学蹴球部4年の野澤光希です。
2022シーズンは,C1チームで選手として、TOPチームでトレーナーとして活動していました.ときたまこのような文章を書くことがありますが、だいたい長くなります。自分のなかでも整理がついてないので、時間もかかります。今回のブログも最初は全く別のことを書いていて,途中でやめて書き直しました。さらに,インカレ前に一度書き上げたものは,タイミングが悪く没になりました.3度目の正直です.依頼が来てから半年も待たせてしまいました.担当の方,申し訳ございません.

そして、待たせた挙句たいしておもしろくありません。これが1番問題です。
心揺さぶられる部員ブログを読みたい人は、ぜひ以下のURLの部員ブログをご覧ください。
https://www.tsukubashukyu.com/blog/detail/id/16327
これは僕が1年生の時の4年生の部員ブログです。今でもたまに読み返しますし,当時はバズブログなどと言われ蹴球部を席巻しました.皆さんの中にも響くものがあると思います.

前置きはこれくらいにして,本題に移ります.
このブログでは蹴球部で活動するにあたっての心構えみたいなものを書こうと思います.自分が入部した時とは蹴球部も変わってきていると思うので,どれくらいの人が共感してくれるかわかりませんが,興味を持ってくれた方はもう少しお付き合いください.





みなさんは「エネルギー」と聞いてどのようなことを思い浮かべますか?

例えば、
・食品に記載されている「○kcal」
・資源に乏しいに日本のエネルギー問題
・元気のある人(エネルギッシュ)
などなど
体専らしく身体に関するエネルギーを学問的に考えてみると,生理学的には生物の活動に伴って発生する熱量をエネルギーと言います.この時のエネルギー源は私たちが食べる食事であり,体内に取り入れたエネルギーを代謝によって消費します.スポーツしている人が日常的に耳にする「有酸素」「無酸素」といった言葉は,体内でどのようにエネルギーを利用するかを示したものです.
力学的には,エネルギーとは力を加えて物体を動かす能力と定義され,位置エネルギー(重力に対して運動するためのエネルギー)と運動エネルギー(物体が動いている時に持っているエネルギー)を合わせて「力学的エネルギー」と言います.この場合は体重の重い人が,速く動いているほどエネルギーは大きくなります.

このように「エネルギー」は日常のあらゆる場面に姿を変えて存在します.

蹴球部の活動においても「エネルギー」という言葉は使われます.
最もエネルギーを感じるのはやはり公式戦です.蹴球部員が集まって応援し,それに応えるようにピッチの選手が躍動する.1Gでゴールした選手に向かって応援部員が叫びながらなだれ込む瞬間には,ものすごい量のエネルギーが爆発します.「蹴球部員が全員集まればものすごい量のエネルギーが生まれる」小井土さんもよく口にしていますね.

では,筑波大学蹴球部を動かすエネルギー源とは一体何でしょうか?

少し立ち止まって考えてみてください.
シンキングタイム代わりに,ここでエピソードを1つ.


3年前、2020シーズンは新型コロナウイルスの感染が拡大し多くの制限がかかったシーズンとなりました。8月頃から徐々に活動は徐々に再開したものの、グラウンドを利用できる人数が決められたり、施設の利用時間が削られたりと、「これまで通り」とは程遠い環境での活動は多くの問題を引き起こしました。

そのなかのひとつが「氷不足」です。

感染防止のために飲水ボトルや冷却用バケツなどを全て個別に用意しなければいけなくなったことで,氷の必要量は圧倒的に増加しました。加えて,製氷機の設置してある更衣室の利用が制限されたことで多くの部の使用時間が集中し、製氷機が空になる事態が相次ぎました。特に公式戦のある週末には蹴球部のTOPチームがリフレのために大量の氷を使用します。毎試合80本近くのボトルに氷を入れ、体を冷やすために使う氷をクーラーボックスに大量に詰めるため、朝から氷がないという状況が発生します。しかし、蹴球部内の他チームも氷を使用し、他部活の公式戦も被ります。氷不足問題をなんとか解決しなければなりませんでした。

そこでおこなわれるようになったのが、「製氷機掘り起こし大作戦」です。

氷の生産量を増やすためには,製氷機のタイムロスを少しでも減らす必要があります.部活動が終わってから作られた分の氷を夜中にクーラーボックスに詰め込み,空になった製氷機で朝まで氷を作ります.さらに陸上競技場などからも,あるだけの氷をかき集めます.この方法で氷の生産量はおよそ2倍になり,氷不足は軽減しました。

しかし,大量の氷を掘り起こすには時間がかかります。重い氷を運んで長い距離を往復しなければならないというかなりの重労働です。最初はトレーナーだけでやっていましたが,すぐに限界がきました。そのため同期に手伝いをお願いするようになり、夜遅くにもかかわらず多くの人が快く協力してくれましたおかげで,作業時間が1時間→20分に短縮されて無事に夏を乗り越えることができました.


このエピソードは一見蹴球部員が協力して問題を解決した出来事ですが,「手伝ってくれたのは誰だったのか」という視点で見るともう少し深い意味があると考えます

あえて名前は出しませんが,よく手伝ってくれた人の顔が何人か思い浮かびます。3年後の彼らがどうなっているかというと,中心的な立場で部をまとめていたり、蹴球部に欠かせない業務を回していたり,色々なところに顔を出して部を活性化させていたり,蹴球部の運営や発展に積極的に関わっている部員が明らかに多いのです.ここには“偶然”ではなく“必然”を感じます。

蹴球部で活動していると「それ俺がやらないといけないの?」「他のやつがやればいいじゃん」と思うようなことがいくつもあります。氷発掘大作戦にしても,トレーナーの自分にとっては自ら動かなければならない理由がありました。氷の準備は真夏のパフォーマンスに直結しますから.しかし、手伝いに来てくれていた同期にとっては「自分以外の誰かがやっても変わりのない仕事」だったはずです.

では,なぜ彼らは手伝ってくれたのか?

それは彼らにとっての「蹴球部」が,自分の時間を使うことに不利益を感じないくらい価値のある存在だったからだと思います.
自分のどんな行動が蹴球部のためになるか理解している部員がほとんどだと思いますが,それを分かった上でなお自分の都合や言い訳で行動できない人と,すっと腰を上げられる人の違いはここにあります.自分の時間を使ってでも行動を起こすことができる人は蹴球部の価値を自分なりに確立できているため,年月が経っても変わらず蹴球部のために当たり前のように行動することができるのです.

蹴球部にはこんなことわざがあります.

「球研滞在時間と蹴球部への貢献度は比例する.」

皆さんの周りにもいつも球研で作業をしている人,グラウンドで働いている人がいませんか?掃除に集まる顔ぶれは,いつも同じではないですか?そして,彼らの表情を思い浮かべてみると,大変そうな仕事にも真剣に,時には笑顔で取り組んでいたことに気づくと思います.蹴球部である以上,サッカーで結果を出すことも大事ですが,こうした部員の存在が間違いなく蹴球部の活動を左右しています.



ここで2022年のシーズン目標である「一人一役」について,自分なりの考えを示したいと思います.それは,「部員全員に役割がある状態」ではなく,「部員全員が自らの意志で蹴球部のための活動に取り組んでいる状態」です.

2022シーズン最初の主将と主務の言葉を思い出してみてください.

「たとえインカレで優勝できたとしても,試合に出たTOPの選手だけが喜んでいるのでは日本一とは言えない.蹴球部員全員が自分のチームが勝ったと胸を張って言えるチームでないと意味がない」

この真意を理解している人は,どのくらいいるでしょうか.漫然と局活動をこなしてOKではありません.自分に与えられた役割を責任持ってやり遂げる,あるいは新しいことにチャレンジして部を引っ張っていく姿勢が重要ということです.

あなたは自分の行動が日本一につながったと自信を持って言えますか?

あなたは蹴球部員ですか?

最初の問いかけに戻ります.
蹴球部のエネルギー源は,部員ひとりひとりです.ただし,200人の部員がいるからといって,200人分のエネルギーになるとは限りません.他人任せな部員,中途半端な部員が集まっても,某大学の少人数の応援に簡単に負けます.

一方で,蹴球部にはプラスのエネルギーをいくらでも生み出せる可能性が秘められています.中筑定期戦や1Gでのホーム開催を経験して,コロナ前を知る4年生だけでなく1〜3年生もそのことを感じることができているはずです.マイナスのエネルギーと表現するのが正しいかは分かりませんが,日々の面倒な仕事,他の人のやりたがらないこと,自分がやる必要を感じないことなど,気持ちの向かいにくいところにエネルギーを使える人が増えれば増えるほど,公式戦のような特別な場面で生み出されるプラスのエネルギーも増加します.なぜなら,日頃から蹴球部のために行動している人は,自分の出る試合だけでなく応援にも全力で取り組める人が多いからです.毎日一緒に練習しているわけではない目の前の「あいつ」も,心から自分のチームの仲間だと思っている.それだけ蹴球部が自分の中で大きな意味を持っているから,自然と熱が入ってしまうのです.ここまでいけば上限はありません.周りの人もどんどん巻き込んで,200人のエネルギーが,500,1000,それ以上へと膨れ上がります.



あれこれと偉そうに書いてきましたが,自分自身もまだまだ足りない部分が多いです.これまでの4年間でやりきれなかったと思うことがいくつもあります.それでも試行錯誤を繰り返しながら全力で活動してきました.2022シーズンを振り返ると蹴球部のために行動することのできる部員が多かったと感じます.ホーム開催,中筑,クラウドファウンディング,パブリックビューイング,つくばエリートなど挙げればきりがないですが,部員がエネルギーを発揮できる場面を整えるために陰で動いてくれている人が多いこと,1人ではできないことに多くの部員を巻き込んで協力できる組織になってきていること,そしてその中心に4年生だけでなくたくさんの後輩たちがいることが嬉しいです.

だからこそ,現状で満足して欲しくない.完璧じゃなくてもいいので,一人でも多くの部員が自身の行動を振り返って蹴球部のために発揮できるエネルギーを増やしてほしいです.それが2022シーズンに果たすことのできなかった「日本一」という目標を達成すること,そして今後の蹴球部の発展につながっていくと思います.



長いことお付き合いいただきありがとうございました.
気がついたらオフシーズンも終わりです.このブログが出る頃には新しいシーズンがスタートしていることでしょう.たぶんここまでしっかり読んでくれた人はちゃんと「蹴球部員」です笑 特に新4年生,最初に覚悟だけ決めて,1年間楽しみながら頑張ってください.


もう1年,一緒に戦います.




筑波大学蹴球部

体育専門学群4年

野澤光希


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