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2025

#202 ようやくサッカーを辞められる。(角田行崇/4年)

選手を引退してから、後輩と会うと「引退してどうですか?」とよく聞かれます。まず、びっくりするぐらい体が弱くなっています。階段はきついし、サッカーをしようものなら鉛のごとく動きません。体重は3、4キロも軽くなり、鏡に映った自分が嫌になります。日常については、やっと暇になるかと思いきや、卒論やら何やらでなんやかんや忙しなく日々が過ぎていっています。
そんな日々のふとした瞬間に、同期と会う時間が減ったり、サッカーを懐かしいと思ってしまったりすることに一抹の寂しさを覚える今日この頃です。

自己紹介が遅れました。筑波大学体育専門学群 蹴球部4年の角田行崇です。
高校まで過ごした山形の片田舎から、大学入学を機に筑波という大都市に脱出してきました。
蹴球部では4年間の選手生活と並行して、様々な活動に首を突っ込んでいました。その話は後ほど。
そんな自分がなぜ「ようやくサッカーを辞められる」という、ChatGPTにもユニークかつ挑戦的な表現とお墨付きをもらった、ときんときんなタイトルでブログを書くのか。
冗長な文章ですが、お付き合いいただけますと幸いです。



まず、サッカーはとても難しい競技です。

少しだけ例を挙げると、足でボールを扱うので難しい、11人のチームスポーツなので難しい、審判の影響度が大きくて難しい(いろいろありましたね)などなど、、、
こんな競技を16年も続けたなんてどうかしていると思っています。


ではなぜ辞めなかったのか?

実は高校入学時、サッカーを辞めるか考えました。両親よ、びっくりかもしれないけど気にせず読み進めてくれ。

考えた挙句、大きな壁にぶつかりました。

それは...「サッカー以外になにやればいいの?」

サッカー以外の世界を知りませんでした。いわゆるアイデンティティってやつです。
別にプロサッカー選手を目指していたわけでもないのに、他の道が想像もつかなかったのです。
15歳の自分はこの問いを前にして、「サッカーを続ける」という“逃げ”に走りました。
考えることを辞めたのです。
高校3年間は、あらゆることから目を背け、サッカーに逃げました。いやサッカーからも逃げていたと思います。脳死で日々が過ぎるのを耐えていました。


進路選択の際にもこの問いは消えてくれませんでした。

そこで、「日本一サッカーが強い大学に入れば、レベルの差を目の当たりにして他のことに目が向くだろう」という短絡的な考えのもと、サッカーの辞め方を探しに筑波大学蹴球部に進路を決めました。

無事入学し、目的はなんと入学式の日に達成されました。
TOPの練習を間近で見て、本当にすんなりと「サッカーを辞めよう」と思えました。
レベルの差なんてもんじゃく、別競技でした。

そこで帰っていればストレスフリーなキャンパスライフが待っていたはずなのですが、
困ったことに、「この人たちと一瞬でも一緒にサッカーをしたい」と思ってしまいました。

そう思って蹴球部の門を叩き、いま4年間を終えようとしているわけなのですが、蹴球部を辞めるという選択肢はずっと頭の片隅にありました。いや結構中心にいたかも。
他のみんなのように強い動機もなく、ただ淡い憧れのような情けない感情を動機にしていたのだから無理もありません。


ではなぜ蹴球部を辞めなかったのか?

それは蹴球部という組織が大きく関わっています。
かつて、蹴球部のスローガンの一つに「一人一役」というものがありました。
蹴球部に在籍する以上、サッカーをやるだけではなく、何か一つは部に貢献する義務があるというものです。

辞める理由を探して飛び込んだ先では、強制的に選手以外の役割を求められました。

「役割がたくさんあるこの部にいれば、もしかしたら自分の知らない一面を知るきっかけになるかもしれない。」

またまた短絡的に考え、蹴球部で様々な活動に首を突っ込みました。

スポンサー活動、審判、動画編集、少年団ヘッドコーチ、雙峰祭ブース責任者、ブラジル人サッカー交流大会運営、ホームゲームプロジェクトチーム、フレマンスタッフ...

まだありますが一旦この辺で。

4年間でこれだけの活動に関わらせていただき、様々なことに挑戦し、失敗し、学びました。(関わったと言っていいかわからないものもありますがご容赦を)
具体的なことは書ききれないので割愛しますが、どの経験も蹴球部でしかできないもので、よく外部の人に「学生レベルを超えている」と言われます。
筑波大学蹴球部は大学サッカー部でありながら、「学生レベルを超えた経験」が積める組織なのです。

もちろん、サッカーを疎かにしたつもりはありません。
「強くあり続ける・高みを目指し続ける」「現状維持は衰退」
これらも蹴球部のマインドセットです。
この言葉がそんなことはさせてくれませんでした。
おかげさまで人並みにサッカー選手としての挫折も味わされました。
その度に考え、行動し、逆境に抗う経験をしてきました。
筑波大学蹴球部は大学サッカー部ですから、「アスリートとしての経験」が積める組織なのです。


「学生レベルを超えた経験」×「アスリートとしての経験」=「日本一の教育機関」

無理やり感が否めませんが、筑波大学蹴球部はこの公式が成り立つと思っています。
こう思っていたからこそ、私は蹴球部に4年もの時間を投資したのです。
そして間違いなく4年間を投資した価値がありました。


さて何が言いたいかわからなくなってきたのでまとめます。

サッカーを辞める理由を探しに入った筑波大学蹴球部。
サッカーも本気でやったし、ピッチ外の活動に多く取り組んだ。
サッカーしか道を知らなかった自分が、ここでしかできない貴重な経験を通して、いろいろな道を知りました。

「ようやくサッカーを辞められる。」

これは決してネガティブな気持ちではなく、未来に目を向けた気持ちだと思っています。
サッカーを、そして蹴球部生活を通して得た経験を、これからの人生に活かして頑張りますので、応援の程よろしくお願いいたします。


ここまでつらつらと自分語りをしてしまいましたので、そろそろ引退ブログ恒例の感謝パートに移りたいと思います。

と、その前にTOPにお願いがあります(読んでる人いる?)

TOPチームの皆様のおかげで私は運よく、「天皇杯でJ1首位を破った」と豪語できるわけですが、もう一つだけお願いがあります。

それはもちろん、「日本一の景色を一緒に見ましょう」ということです。

さっき私は「日本一の教育機関」と言いました。
もっと大きく出れば、「日本一の組織」だと思っています。
全体ミーティングで中西哲生さんもそうおっしゃっていましたね。
関東リーグで優勝したり、町田に勝ったりしました。
しかしこの4年間「日本一」だけはまだみていません。
名実ともに「日本一の組織」となるために、まずは絶対九州を勝ち抜いてつくばに帰ってきてください。
中筑での応援が最後になるのは絶対嫌です。よろしくお願いします。


さて感謝パートです。

同期へ

まずは4年間ありがとうございました。グラウンドに行けば誰かしらいて、他愛もない話をしながらボール蹴ったり、筋トレしたり、たまに真面目な話をしたり。
同期の存在が大学生活を彩ってくれました。ありがとう。
そんで、めっちゃ迷惑かけて申し訳ないです。特にフレマン時代のカス4メンバーには何度も起こしてもらいました。頭が上がりません。
これからもよろしくお願いします。


やまぼうし、ジェラーレ、山東サッカー部、筑波大学蹴球部のコーチ・チームメイト、大穂東の皆さん、友人、これまで関わっていただいたその他全ての方々へ

幼少期から今に至るまで、ピッチ内でもピッチ外でも扱いづらい人間だったと自覚していますが、皆さま根気強くお付き合いしていただきありがとうございました。
これからはいただいた恩を返していければと思いますので、今後ともお付き合いしていただければ幸いです。


そして両親(+兄)

本日、めでたく22歳を迎えることができました。おめでとう、俺。
そして同じ誕生日の後輩のT雅君と、同期のK山くんのお父様もおめでとうございます。
お祝いのメッセージをくれた皆さん本当にありがとうございます。

お祝いの言葉は大変うれしいという前提のもと読んでいただきたいのですが、実は私は誕生日で祝われることに物心ついたころから違和感があります。

というのも、私が頑張ったから誕生日を迎えることができたわけではない、と考えているからです。
一人で生きていく術を持たない私が誕生日を迎えることができるのは、ひとえに両親の頑張りのおかげです。
ですので、祝われるべきは、称賛されるべきなのは両親なのだ、と私は思うのです。

というわけで、
父ちゃん・母ちゃん22年間ありがとう。
2人のおかげで大病もなく健やかにここまでこられました。
これから図体はでかくなっていかないので、人として大きくなって、これまでの恩を返していけたらと思います。
すぐには返しきれないので、健康で長生きしてください。


コメント
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わらしな
2025-02-01 22:11:36

初めまして。私は、静岡市内でジュニアサッカーチームの監督としてサッカーに携わっている者です。
たまたま知人から紹介していただき角田さんのブログを拝見しました。
お会いしたことのない角田さんのお気持ちを自分なりに理解し、自分なりに想像し、勝手に感動し、勝手に応援したい気持ちになりました。
角田さん、サッカーは本当に色んな事を教えてくれますね。
私は54歳ですが、まだまだサッカーや子どもたちから教わることが多くあり、今だにその一つ一つが私自身を成長させてくれているという実感があります。
日々、感謝です。
会ったことすらない者からのコメントに戸惑うかと思いますが、角田さんのこれからの人生は、素晴らしい人生になると信じています。素晴らしい文章を書いてくださり、ありがとうございました。