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2021

#115 モノに宿る物語 (青栁磨央/4年)

初めまして。

筑波大学体育専門学群4年の青栁磨央と申します。

蹴球部では選手兼ホペイロとして活動しています。


ホペイロとはチームの用具を管理・ケアする職業のことです。

ホペイロとして活動している自分だからこそ発信できる内容にしようと考えました。

拙い文章ですが、特にスポーツをしている方は是非ご一読下さい。


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どんなスポーツをする時にもなくてはならないものといえばスポーツ用具です。


サッカーをしている時、周りを見渡してみて下さい。ゴール、コーン、マーカー、ビブス、スパイク、ユニフォーム、サッカーボールなど、沢山の用具に私たちは囲まれています。


皆さんは普段、使うことが当たり前であるこれらの用具について考えたことがありますか?


私はホペイロをしているということもあり、よく考えます。


私が思うに、モノには2つの物語があります。


1つ目は用具が0から私たちの手元に届くまでの物語です。


例えばサッカースパイク 。

モノが完成するまでにコンセプト決定→デザイン→開発→生産という流れがあります。

詳しく述べると、コンセプト決定の前には、マーケット調査、ユーザーのニーズ分析を行い、デザインではコンセプトに基づいて、デザイナーの方がいくつも案を出し、開発と並行しながら案を絞っていきます。開発段階には様々なフェーズがあり、1stサンプル、2ndサンプル、3rdサンプル(仕様確定)、セールスサンプルを作ってようやく生産に辿り着きます。全体を通して、約2年。一足のスパイクが私たちの手元に渡るまでにこれだけの時間がかかっています。

メーカーの方達が本気でユーザーである私たちのことを思って、試行錯誤を繰り返し続けた2年間が私が言う一つ目の物語です。


まずは用具を使うときにこの一つ目の物語に想いを馳せてみて下さい。


そうすれば、用具との向き合い方は自ずと変わってくるのではないでしょうか。


そして、2つ目の物語はユーザーである私たちと用具との間で紡いでいく物語です。


物語を紡ぐことのできる時間は、新品の用具が手元にきたその瞬間からその用具を使い切る瞬間までです。


この短い時間に私たちができることは、自分で選んで買った用具と共に、練習を重ね、試合に挑み、嬉しい、悔しい、様々な感情を抱く。そして、使った後にはきちんと手入れを行い、壊れたら修理をする。

使い切るその日まで愛着を持って接する。


この当たり前の積み重ねによってあなたと用具との物語は紡がれていくのだと思います。


是非、あなたとあなたの用具だけの特別な物語を作るという意識を持って用具と向き合ってみて下さい。


こんな文章を書いたのも、20年間のサッカー人生を通して、選手たちが自身の身体のケアは常に怠ることなく、しっかりと行うのにもかかわらず、身体の一部といっても過言ではない用具のケアをおざなりにしている瞬間を多く目の当たりにしてきたからです。


私はこの状況をどうにかしたい。


その一心で4年間ホペイロとして活動してきました。

もし、この文章を読んで少しでも用具に対する意識が変わり、大切にすることができる選手が増えていただけたなら幸いです。


最後まで読んでいただきありがとうございました。

今後とも筑波大学蹴球部を宜しくお願い致します。



筑波大学蹴球部

体育専門学群4年

青栁磨央


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