日頃より筑波大学蹴球部へのご支援・ご声援、誠にありがとうございます。
2014シーズンから2017シーズンを選手として、
2018シーズンから2019シーズンをトップチームコーチとして
筑波大学蹴球部に在籍しました鍵野洋希と申します。
6年間チームに在籍しながら、部員ブログに私の記事が載るのは初めてです。
しかし、記事を入稿するのは3度目です。
さて、どういうことでしょうか。
手っ取り早く答えを言いましょう。
部員ブログ初代編集長である同期の秋田くんによって2度も無駄書きをさせられたということです。
1度目はフレッシュマンヘッドとして、
2度目はテクニカルスタッフとして依頼され、
期日までに入稿したにもかかわらず、
「出すタイミングを失った」という理由で世に出ることがなかったと記憶しております。
3度目の正直となることを期待しながら、
現編集長の加藤零太くんより依頼された、
2年間のスタッフとしての活動について~これから蹴球部に関わろうとしている人にもむけて~
を書いていきたいと思います。
私は選手としての蹴球部生活を一度もトップチームに登録されることなく、当時の2軍にあたるB1チームで終えました。
選手生活を終えてからは2年間トップチームでコーチを務めました。
きっと私のことを知らない人も多いと思いますが、最近の筑波のベンチで「一番うるさいコーチ」と言えば、
「あー、あの人ね」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
選手に対して、相手選手に対して、時にはレフェリーに対して、いつも感情をむき出しにしながらぶつかっていたように思います。
時々「あ、言いすぎたな」と冷静になってから思うこともありますが、自分の中で一つの信念がありました。
それは「熱をもって全力でぶつかること」です。
私は、選手として輝かしいキャリアがあるわけでも、指導者としてなにかを成し遂げた訳でもないにも関わらず、歴史ある筑波大学蹴球部のトップチームコーチという役職を与えていただきました。
我々は
「大学サッカーを牽引していく存在」
「強くあり続ける存在」
というアイデンティティを持ち続けなければなりません。
また、トップチームにいる選手たちはプロになりたいという強い思いをもった選手たちです。
そのようなチームを、選手を預かる学生コーチの私ができることは、「全力でぶつかること」だけでした。
卓越した指導力で、画期的な戦術でチームを引っ張っていくコーチは確かに理想的ですが、指導者1年目の自分にそのハードルは高すぎました。
もちろんそのための努力をしなかったわけではありません。
周りの学生コーチやSNSサッカーアカウントを見るたびに、自分はまだまだ勉強不足だなと思わされることばかりでした。
ただ、自分は頭でっかちになりたくなかった。
知識を増やすことと同様に選手に向き合いたかった。
それが私の2年間の想いでした。
指導者としてのキャリアを重ね、5年後や10年後に同じことを言っていたら自分は馬鹿だと思います。
しかし、選手・コーチという関係性よりも先に、1・2歳しかかわらない先輩・後輩でもある仲間のためにはこれが一番だったと考えました。
近年、ありがたいことに筑波大学蹴球部に関わってみたいと、大学院を受験し学生コーチとして関わってくれる仲間が多くいます。
先輩には、大学入試で2度も筑波大学の受験に失敗しながら、大学院で筑波に入る夢を叶えた方もいらっしゃいます。
卒業した身としては、こんなにも蹴球部が憧れの存在となっていることはとても嬉しいことです。
今のサッカー界には、多くの筑波大学蹴球部出身者がいらっしゃいます。
そのおかげで私も仕事をいただくことができていますし、恵まれた環境があることは事実としてあるでしょう。
しかし、ある投稿を目にしましたが、「筑波にいけばサッカー界で働ける」というような誤った情報が流れているようです。
これだけは、はっきりと言っておきましょう。
筑波に来ても誰も助けてはくれません。
自分で努力した者だけに未来はあります。
これに関連して、私がフレッシュマンヘッドを務めた際に当時の1年生(新4年生)にしつこく言い続けたことがあります。
「サッカーだけをしていたらいいクラブではない」
124年の歴史、大学サッカー界を牽引していく存在であること、そのすべてを背負い、
模範となる行動をとれる存在こそがこのクラブに所属する資格のある人間だと私は考えています。
それは選手であろうがスタッフであろうが同じことです。
筑波大学の合格発表も終わり、4月から選手として、そしてスタッフとして関わろうとしている皆さんに僕の想いが伝われば幸いです。
また、みんなの前で特に話すこともなくチームを離れたので現役部員に向けて。
きっとこれからは新しい蹴球部を作っていかなければならないと思います。
天皇杯での躍進があってから我々はメディア露出が増え、パフォーマンスチームやプロモーションチームの活動が取り上げられ、「筑波ってすごいね」と言われた経験がある部員も少なくないでしょう。
それはきっと、学生のうちからそういう活動をしていた組織が少なかったからです。
少なくとも3年前までは。
相手チームの分析、自チームの分析など、
今はどの大学でも、広げれば高校生でもやっています。
大学サッカーの価値向上、スポンサーの獲得も多くの大学が力を入れ始めています。
きっとこれからはやっていること自体に価値が生まれる時代ではなくなるでしょう。
では、なにが必要か。
より質の高いものを求め続けるということです。
これも始めました、あれもやっていますというだけでなく、高いレベルで、大学サッカーを引っ張っていける組織にしていってほしいと思います。
そして、もう一つ。
忘れてはならないことを。
「よい選手、よいチーム、よい指導者」
「よい選手」
目指してますか?
きっとみんなは「よいチーム」になることに対するモチベーションは非常に高い。
組織運営のこと、大学サッカーの価値を上げることなど素晴らしい取り組みがたくさんある。
でも、我々がこのクラブに集った一番の理由はサッカーにあるはず。
サッカーで日本一を目指す、サッカーで自分史上最高を目指す。その部分をぶらしてほしくない。
選手ではない部員もなぜサッカーなのか、なぜ蹴球部なのかを自問自答しながら「よいサッカーに関わる存在」になってください。
そういった部員の集まった組織が、きっとよりよい組織に繋がっていくと思います。
私はこのクラブで6年という時間を過ごし、今後の人生に大きな影響を与えるたくさんの経験ができました。
このクラブには感謝しかなく、私はこの筑波大学蹴球部が大好きです。
今シーズンからはOBとして、活躍を見守っていきたいと思います。
ついに私が育てた(という言い方をするのはおこがましいですが)フレッシュマンが
筑波大学蹴球部の最高学年となりました。
この部員たちならやってくれます。
2020シーズンの筑波大学蹴球部に期待してください。
筑波大学蹴球部
人間総合科学研究科体育学専攻2年
鍵野洋希
