・蹴球部の部員ブログはハードルが高すぎる・何について書けばいいかわからないこの2点の理由から一度は無視するかのようにお断りしたブログの依頼。それから数ヶ月して、提出期限が決められた書く書かないの有無をも言わさぬLINEが僕の元に届きました。それ以降、 「お疲れ様です。よろしくお願いします。」 という取り立てのようなLINEが不定期で送られてきます。そんなこんなで提出期限も迫ってきたので書き始めようと思います。挨拶が遅れました。 こんにちは。体育専門学群4年の山川哲史です。まず、部員ブログのハードルを上げってしまった同期のブログを紹介します。部員ブログの中では比較的多くの「いいね」をいただいたブログで、とても考えさせられる内容です。お時間ある方はぜひ読んでみてください。お時間のない方は僕のブログを読むのをやめてぜひ読んでいただきたいです。金井伸悟「ストイック風人間」https://www.tsukubashukyu.com/2019/10/15/blog-52/藤川晴基「医者とプロサッカー選手と大学生」https://www.tsukubashukyu.com/2019/10/04/blog-50-2/これらのように批判的に物事を見て核心を突くような内容を書きたいのですが、いくら考えても思い浮かばないので、僕のサッカー人生とその中で得られた人生のキーワードについて書きたいと思います。僕は小学1年生の時にサッカーを始めました。本当は野球が好きで野球がしたかったけれど、家族に「坊主にしないとあかんで」と言われて野球は諦めた気がします。そして近所の友達に誘われてサッカーを始めたような気がします。その時のことはあまり覚えていません。サッカーを始めてサッカーが楽しいことに気づきました。そして自分が負けず嫌いなことにも気がつきました。負けることがとにかく嫌で、毎試合中チームメイトにひどいことを言っていました。みんなは言い返してこなかったけれど僕と一緒にサッカーをすることでサッカーを楽しめなかったチームメイトはたくさんいたと思います。本当にごめんなさい。中学生になって運よくヴィッセル神戸の育成組織に入りました。周りのレベルが高くなり、チームで一番上手い選手から一番下手な選手になりました。センターバックとして入ったと思っていたら同期のセンターバックにポジションを取られ、左サイドバックで出場したら相手の足の速い選手にチンチンにされ、同期の上手い選手はどんどん上の学年に呼ばれていきました。今考えると、ここでそれまで自分の中にあった自信が消えていったような気がします。自分はこんなもんなんだと。そうやってあまり自分に期待しなくなりました。ただ、自分に期待はしていなかったけれど毎日の練習や試合が楽しく、もっと楽しむためには、もっと上手く強くならないといけないと思って毎日を過ごしていました。そうやって過ごす日々は本当に充実していました。そして目標としていた高校年代のユースに上がることができました。ユースでも同じように、できなかったことがだんだんできるようになっていく楽しさを感じたり、レベルの高いアタッカーと闘うことを楽しんでいました。しかし、ユースでは多くのチャンスを与えてもらったにも関わらず、ことごとく棒に振ってしまいました。自分はこんなもんかと改めて思わされました。高校3年生の夏前、そんな僕にトップ昇格の話がきました。トップ昇格とはユースからトップチームに昇格できるということで、つまりプロサッカー選手になれるということです。これまでサッカーを続けてきて、周りの応援してくれる人たちには 「プロサッカー選手になる」 と言ってきました。ただ、それは本当にぼんやりとしたもので、本気でプロサッカー選手になることは考えたことがありませんでした。なぜなら自分がプロサッカー選手になれるなんて思ってもいなかったからです。プロになれると聞いた時に、初めて本気で自分がプロサッカー選手になった時のことを考えました。いろんな人と話してどうするべきなのかを考えました。そしてトップ昇格の話をお断りしました。様々な理由がありますが、一番大きな理由は 「プロサッカー選手としてプロの世界で闘っていく覚悟と自信がなかった」 からです。プロになれるという状況になって初めて本気で考え、プロの世界に行くことがとても怖くなりました。自分じゃ絶対にプロの世界で通用しない。そう思いました。中学生の時からお世話になり、僕にたくさんの時間とお金と労力をかけてくださったクラブには本当に申し訳なかったですが、両親に「自分の人生なんだから自分がしたいようにすればいい」と言ってもらい大学進学を決意しました。当時のヴィッセル神戸の寮の寮長にお断りする旨を伝えた時にこんなことを言われました。「根拠のない自信を持て」そう言われた時は頭の中が?でいっぱいでした。あまり意味がわかっていなかったのですが、なぜか心にずっと突き刺さっていました。筑波大学に進学すると僕の目の前に2人の大きな壁が立ちはだかりました。鈴木大誠さん(現 徳島ヴォルティス)と小笠原佳祐さん(現 ロアッソ熊本)です。大誠さんは守備能力が高くクレバーな選手で、小笠原さんは足元やキックの技術がありそれでいてファイターな選手でした。客観的に見て、僕が2人に勝っている部分は何もありませんでした。でも寮長に言われた通り「根拠のない自信」を持ってやり続けました。その名の通り、根拠も何もないただの自信です。俺は絶対に2人からポジションを取れる。そう信じ続けてやっていました。ある日、スポーツ健康心理学という授業を受けていた時のことです。授業の中で「根拠のない自信」という言葉が出てきました。一瞬であの時のことを思い出しました。内容を簡単にまとめるとこんな感じです。・条件付き自信(勝ち負けによる自信)・真の自信(根拠のない自信)授業が終わっても興奮が冷めず、出席用紙に感想を必死に書いていた覚えがあります。自信の捉え方はたくさんあると思いますが、僕はこういう捉え方をしました。勝ち負けで揺れ動く条件付き自信は間違いなくある。試合に勝ったり、目の前の相手に勝って、自信を持つ。またその逆で、試合に負けたり、目の前の相手に負けて、自信を失う。良い時は誰だってやる。悪い時に何ができるか、どういった姿勢で臨むのか、そこが大事。そんな時、「根拠のない真の自信」が自分を奮い立たせる燃料になる。自分を支えてくれる。僕のこれからの人生において大事にしたい言葉だなと思いました。「根拠のない自信」これが僕のサッカー人生で得られた人生のキーワード、1つ目です。僕が尊敬している人物である鈴木大誠さんは「プロになったら、これまで支えてくれた人のためにサッカーをする」と言っていました。当時の僕は「なに綺麗事を言ってるんや」と思っていました。サッカーは楽しいからするもので自分のためにするもんだと。人のためといってもそれがサッカーをする最大の理由にはならないだろと。でも大誠さんが言っていたことを理解することができるきっかけとなった言葉と出会いました。大学3年生の夏が終わったあたりから、筑波大学蹴球部では来シーズンに向けての準備が始まります。主に、来シーズンの主将・副将を決めたり、スローガンを決めたりします。そして今シーズンからビジョンを掲げることになりました。「人の心を動かす存在」この言葉になった経緯や熱い想いなどはこちらに書いてあります。https://www.tsukubashukyu.com/2019/01/16/blog-21/このビジョンが決まった時、直感的にとても素敵な言葉だなと思いました。少しずつ試合に出させてもらうことが増えてきて少し自分の中で余裕が出てきた時に、少し視野を広げて蹴球部活動を客観的に見てみると、蹴球部を支えてくれている人の存在に気がつきました。蹴球部のことが大好きで蹴球部のためにいろんな活動をしてくれている部員のみんなやスタッフ、OBの方々、スポンサーとして支援していただいている企業様、いつも蹴球部を気にかけてくださり頑張ってねと声をかけていただく地域の方々、全国のファンクラブ会員の方々、そのほかにも本当に多くの方に支えられて蹴球部がある。そして、僕自身いつも応援してくれる家族やこれまで関わってきた多くの人がいて今の自分がある。ピッチの中や外の蹴球部活動を通じて、人と人との繋がりを強く感じるようになりました。それまで大誠さんと小笠原さんからポジションを取ることしか考えておらず、視野がとても狭かった僕はこんな当たり前なことに気がつきませんでした。そして今は、「僕や蹴球部を支えてくれている人のために闘いたい。多くの人の期待に応えたい。一人でも多くの人の心を動かすような存在になりたい。」と心の底から思っています。大誠さんはブログでこんなことも言われています。鈴木大誠「サッカーの何が楽しい?」https://www.tsukubashukyu.com/2018/07/27/16/「サッカーをプレーする楽しさよりサッカーで結果を出すことで、自分以外の人に喜んでもらえる楽しさを感じる」大誠さんが言っていたことを理解してから、僕もほとんど同じことを感じます。僕を一番応援してくれている家族が喜んでくれることが本当に嬉しいし、筑波が勝つことで筑波を応援してくれる人が喜んでいることが嬉しい。今は、そういった方の笑顔や喜ぶ姿を見ることが僕の原動力になっています。大誠さんと少し違うとすれば、僕にとってサッカーをプレーする楽しさと結果で自分以外の人に喜んでもらえる楽しさは同じであることくらいです。「人の心を動かす存在」これが僕のサッカー人生で得られた人生のキーワード、2つ目です。ついに大学生活も残りわずかとなりました。大学生活は、数えきれない程の出会いや経験、学びを僕に与えてくれました。今は筑波大学に来て、蹴球部に入部して、本当に良かったと思っています。残すはインカレのみ。僕や筑波大学蹴球部を、支え、応援してくれる人の心を動かす闘いをします。応援よろしくお願い致します。筑波大学蹴球部4年体育専門学群山川哲史