『蹴球部員が目指すべきは、豚肉キャベツみそ炒めである』小嶺肇之/4年



『今日って何曜だっけ?』

同期に今日が火曜日でないことを確認すると、
頭にヘルメットを乗せ、いつものように原付を転がす。


チャリで横隊を成す大学生を横目にかわして進むと見えてくる。
赤い暖簾が営業中の印だ。

整然と佇む盆栽と乱雑に置かれた自転車にどことなく懐かしさを感じながら、
暖簾をくぐるとバイトの部員と厨房にたたずむ店主の背中が出迎えてくれる。



『よっ。』

軽く挨拶をして空いている席に座り、
なにげなくテーブルを見渡すと前の試合の闘いの跡が。

麦茶のかいた汗をナプキンで拭って、くしゃっと丸める。
適度に濡れていてボールが滑りそう。
ピッチ状態はすこぶる良いようだ。



一息つくと、壁をぐるっと見渡し、相手の情報を入れて戦いに備える。

セットプレーには要警戒。AからCまで高身長揃いだ。
日替わり定食にも目をやる。

無論、見渡したところでこちらの戦い方は決まっているが。



『いつもの特盛で。』

そう告げたあと、麦茶でのどを潤す。
試合前のスカウティングは決まって短いのだ。

『おっちゃん、豚キャベツです。』

バイトのが店主にそう告げた。



カウンターでマッチコーディネーションミーティングをしているのが目にはいる。

大皿に小皿2つ、味噌汁にご飯。
伝票も忘れてはいけない。


確認を終えるとお椀に盛られた白飯をエスコートしながら、
茶色と緑のユニフォームを身に纏って 威風堂々と紅のピッチに入場してくる。

臨戦態勢のようだ。
その湯気が、入念なウォーミングアップを物語っている。



『いただきます。』


聞き取れるか聞き取れないかくらいの声でそう呟いた。
試合開始。


黒いお盆の上の大皿、その佇まいはまるで黒船とペリーである。
試合開始とともにこちらの視覚と嗅覚に激しいプレスをかけてくるが、まだ立ち上がりだ。
まずはセーフティーに応戦するとしよう。


相手のブロックの間を突いて、 漬物をつまみ、味噌汁をすすると、
肉団子と素麺に気が付く。

ペナルティーエリア脇で直接フリーキックを得たような感じだ。


麦茶を口に流し込みコップに補充すると、助走を取るように箸を持ち直す。


入り口近くの掛け時計がいつもよりゆっくりと時を刻んでいるような気がする。




一息ついた後、二本の“脚”の両先端が移動する。
まるで自分の身体の一部かのように違和感なくスムーズだ。


パクッ(‘ω’)//



二本の“脚”に操られたボールはキーパーの目の前で変化し、“ゴール”へと吸い込まれた。
どうやら白飯にバウンドして軌道が変化したようだ。


『やっぱり、豚キャベツだな。』


心の中でそう呟きながら、 口の中のキャベツのざくざくという音がスタジアムに響き渡る歓声のように感じた。


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はじめまして。

鳥取、青森、長崎、出身地は自由自在、
東京都世田谷区生まれの
筑波の又吉こと
小嶺肇之です。


『こいつ、どんなツラ構えしてんねやろ?しゃーなし、いっぺん拝んだるわ。』

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さて、
今回のテーマは、
「蹴球部員が目指すべきは、豚肉キャベツ味噌炒めである」
となっています。

なぜか。

その理由について
早速、検証していきましょう。
ついてきてください。


フォロミー‼( `―´)ノ


今回のキーワードは
「豚肉キャベツ味噌炒め」
ちなみに僕はこれしか頼みません。(リアルに)


先ほどの文章の中で
主人公は『やっぱり、豚キャベツだな』と感じました。


ここで注目したいのは『やっぱり』という文言です。
『やっぱり』とはどういう意味でしょうか?


『やっぱり』とは、
1. 同じく。同様に。
2. 予期したとおり。案の定。状況から当然推定されるとおり。
という意味で使われる副詞です。



では、ヒトやモノ、組織が『やっぱり○○だな』と周囲から評価される条件とは、一体何でしょうか?


ナンダロナ?(´・ω・)


小嶺なりに言葉にすれば、
『高い水準のパフォーマンスを維持していて、周囲の期待に応え続けている』ことが条件だと考えられます。

しかしこれ、実はとっっっても大変なことだと思っています。


では、なぜ大変か。
サッカーの話から行きますね。



サッカーのパフォーマンスというのは、
様々な要因によって決定される、とても複雑なものです。


もちろんプレーするのは人間ですから、ミスをすることもありますし、
その時々によって体調が優れなかったり、イライラする時だってあるでしょう。
自身の疲労や、睡眠、食事、さらにはチーム内外での人間関係、プロになれば経済的な問題やメディアの批評も、
サッカーのパフォーマンスに影響を及ぼすかもしれません。


大学サッカーでは1シーズン(約8か月間)に約35試合、プレミアリーグのトップになれば約50試合消化します。週に1回以上は試合をすることになります。
もちろん全員が全試合フル出場するわけではありませんが、
1シーズンの間、試合で最大限のパフォーマンスを発揮するために、
様々な内的・外的要因を可能な限りコントロールし、試合に向けて「準備」し続けなければいけません。


高いパフォーマンスを維持する為には、いかなる時も周囲の様々なストレスに対処し自らをコントロールすることが必要とされます。


また、サッカーは自由度が高く非常に“選択肢の多い”競技です。
極端に言えば、ボールを手以外で扱っていればどこで何をしても良いし、
逆にボールがどこに来るか、相手がどんな動きをしてくるかわかりません。


さらに、サッカーは相手と得点の多さを競う競技なので、
記録で勝敗の決まる陸上や競泳とは異なり、
「高い水準のパフォーマンス」を発揮できたとしても、
勝負には負けてしまい、周囲の期待に応えることが出来ないこともあります。



ランダム性、不確実性といった特性を持つ、サッカーというスポーツにおいて、
周囲の期待に応えられる確率を少しでも高めるために、
様々な側面から日々「準備」をすることができる選手・チーム。
そして、高い水準のパフォーマンスを発揮することがある程度予測でき、
その期待に応えることのできる選手・チームは
『やっぱり良い選手』であり、『やっぱり良いチーム』
だといえます。



では飲食店ではどうでしょうか?


前述したとおり『豚キャベツ』は美味い。それも毎回。
昼に行っても夜に行っても、美味いのです。


ウマイ。(*‘∀‘)



すなわち豚キャベツは、
『高い水準のパフォーマンスを維持していて、周囲の期待に応え続けている』ため、
周囲から『やっぱり、豚キャベツだな。』
という評価を得ることになります。


『そんなこと飲食店なのだから当たり前だろ。』と思う方もいると思います。
が、
小嶺は、そんなことはないと思うわけです。

自炊を全くしない小嶺が偉そうに言うのもなんですが、


“飲食店や料理も、どこかサッカーにおける選手やチームと似ている”感じがしています。


先述の通り、
『高い水準のパフォーマンスを維持していて、周囲の期待に応え続ける』ことはとても大変だと思います。


飲食店では定休日を除いて年中、毎日、“美味しい豚キャベツ”を提供するために、
火加減、調味料の量や投入のタイミング、具材の管理方法、炊飯の水加減などをコントロールします。
もちろん、水道・ガスや電気系統、調理器具のメンテナンスに加え、店主の体調管理も必要になると思います。
天候などの環境要因で、来店人数や具材の仕入先も変わるかもしれません。
そうなれば価格変更や具材の量を減らしたり、などという調整も必要です。


さらに料理を含めた『外食』というサービスの観点からみれば、
お店の雰囲気や清潔さ、店員さんの対応なども、
“食事する空間を提供するサービス”のパフォーマンスに影響を及ぼすでしょう。


加えて、外食産業もビジネスです。
数あるメニューの中から注文されなければ、淘汰されていきますし、
たった一度の準備の怠慢が、評判を落としてしまったり、飲食店として営業できない事態を招いてしまうかもしれません。



このように料理(や飲食店として)のパフォーマンスも、
サッカーのそれと同様、もしくはそれ以上に、
様々な要因で決定される複雑なものであり、
店として、メニューとして、生き残るためには、
“いつ・どのくらいくるかわからない”注文に備えて、
日々「準備」をし、
『やっぱり豚キャベツだな』と、
お客さんに感じてもらうことが必要なのです。



サッカーに戻りますね。



選手は与えられた出場機会の中で、監督の、応援してくれる人々の期待に応えることが出来なければ、
周囲からの信頼を獲得し、数多くいる選手の中から選ばれることはありません。


もちろん選手だけではなく、トレーナーやコーチ、分析担当、主務などのスタッフだってそうです。
想定される事態を幾つもシュミレーションして、ピッチ上で選手が最大限のパフォーマンスを発揮できるよう「準備」するのが仕事です。



さて、豚キャベツとサッカーを行き来しながら
ここまで来ましたが、


“サッカー選手・サッカーチーム”と“飲食店・料理”は、
周囲の“評判・期待”を得る過程が似ていると思いませんか?



そう。
それこそ
「蹴球部員が目指すべきは、豚肉キャベツ味噌炒めである」理由なのです。


この拙い文章からでも
その感じをなんとなく理解していただけた人は褒めてあげます。


エライエライ(´_ゝ`)


要は、
豚キャベツもサッカーも、
日々の「準備」がとても重要で、
それが「味」になり、「評判」になり、「期待」になるということ


を、
豚キャベツを食べながら感じた、っていう話です。


締めますね。


キュッ(‘ω’)



スタッフとして、選手として活動する中で、
いまある“蹴球部”は先生・先輩方や現役部員全員の、日頃の「準備」の賜物だと、最終学年になって、感じる機会が一層増えました。


関東リーグや、総理大臣杯、インカレだけでなく、
Iリーグや社会人リーグ、プロモから少年サッカーまで
部員たちが、様々な場面で多様な「味」を出せるのが
筑波大学蹴球部。(だと思っています。)




全員で最高の「準備」をして、目指すのは、食べログ☆5。


“ 蹴球部員よ、豚キャベツであれ。
年末に『やっぱり筑波だった。』を聞くために


筑波大学蹴球部4年
小嶺肇之